富山家庭裁判所高岡支部 平成8年(家)574号・平8年(家)575号
主文
本件申立てをいずれも却下する。
理由
一 申立ての趣旨及び実情
申立人山科あつ子、同辻祐子、同川口知子、同土井栄子、同梅野直人らの父である被相続人梅野恵太郎(「被相続人恵太郎」という。)は、昭和27年9月23日死亡した。ところが、共同相続人間で何らの協議も成立していないのに、別紙目録記載の遺産のほとんどが相手方梅野浩史の所有名義に登記されている。
また、申立人らの母である被相続人梅野ひろ(「亡ひろ」という。)も昭和47年2月11日死亡した。別紙目録記載の不動産のうち、被相続人ひろが同恵太郎から相続により取得した持分について、共同相続人間で何らの協議も成立していないのに、そのほとんどが相手方梅野浩史の所有名義に登記されている。
そこで、別紙目録記載の遺産につき分割を求める。
二 当裁判所の判断
1 一件記録及び審問の結果によれば、次の事実が認められる。
被相続人恵太郎が昭和27年9月23日死亡し、その相続人は、別紙相続関係図記載のとおり、その妻ひろ、長男である梅野圭一(昭和50年8月4日死亡)、長女である申立人山科あつ子、三女である申立人辻祐子、四女である申立人川口知子、五女である申立人土井栄子、六女である相手方永井治子、七女である相手方北山久子、二男である申立人梅野直人である。
被相続人恵太郎の遺産には別紙目録記載の不動産があった。被相続人恵太郎は適式の遺言を残さなかったが、死の直前、亡ひろの説得を受け、長男の亡梅野圭一のほかに二男の申立人梅野直人にも土地を相続取得させることを了解した。
被相続人恵太郎の死亡後しばらくして、その遺産を亡梅野圭一外の特定の相続人に相続させるため、上記相続人らが富山家庭裁判所高岡支部に出頭し、相続放棄の申述をしようとしたが、申立人山科あつ子と申立人土井栄子は相続を放棄しない旨述べた。その後、昭和28年2月ころまでに、亡ひろ、亡梅野圭一、申立人梅野直人に遺産を分割することの協議がなされたが(C甲1)、協議は成立せず、別紙目録記載の不動産の遺産は被相続人恵太郎名義のまま放置された。
亡ひろは昭和47年2月11日死亡し、その相続人は、別紙相続関係図のとおり、亡梅野圭一、申立人山科あつ子、申立人辻祐子、申立人川口知子、申立人土井栄子、相手方永井治子、相手方北山久子、申立人梅野直人及び申立人佐野ひな子である。
梅野圭一は昭和50年8月4日死亡し、その相続人は妻である亡梅野昌子(昭和52年11月16日死亡)、長男である相手方梅野浩史、長女である相手方宮内真紀、三女である相手方元木ゆみ子、四男である相手方若山慎吾である。
昭和40年代、別紙目録記載の土地につき土地改良事業が進められ、換地処分がなされることになったが、それを機に亡梅野圭一は同目録記載の不動産につき相続手続を進めようとしたが、完了をまたずに死亡した。
亡梅野圭一の長男である相手方梅野浩史は、別紙目録記載の土地のうち同2記載の土地を申立人梅野直人に相続させ、その余の土地は亡梅野圭一に相続させたうえ自ら相続するため、昭和50年8月ころ各相続人に対し、被相続人恵太郎及び亡ひろらからの相続分のないことの証明を依頼して回った。そして、申立人山科あつ子(C乙2)、申立人辻祐子(C乙3)、申立人川口知子(C乙4)、申立人土井栄子(C乙5)、相手方永井治子(C乙10)、相手方北山久子(C乙11)、相手方宮内真紀(C乙7)、相手方元木ゆみ子(C乙8)及び相手方若山慎吾(C乙9)は、それぞれ別紙目録記載の各土地について相続分のないことの証明書を自署捺印のうえ作成した。また、申立人梅野直人は、別紙目録1、3、5ないし8の各土地につき相続分のないことの証明書(C乙6)を自署捺印のうえ作成した。相手方梅野浩史自身も、別紙目録2の土地を申立人梅野直人に相続させるため、同土地につき相続分のないことの証明書(C乙12)を作成した。申立人佐野ひな子に対しては昭和51年3月ころ依頼し、同女は、別紙目録記載の各土地につき亡ひろからの相続分のないことの証明書(C乙1)を署名捺印のうえ作成した。
相手方梅野浩史は、上記各証明書を土地改良区に提出するなど手続を進め、昭和51年5月相手方梅野浩史は別紙目録1、3、5ないし8の各土地につき相続により所有権移転登記を経由した。また、同年6月申立人梅野直人は同目録2記載の土地につき相続により所有権移転登記を経由した。
別紙目録4記載の建物は被相続人恵太郎名義の登記が残されたが、同建物は相手方梅野浩史が登記を経た同目録3の土地上にあり、相手方梅野浩史が家族とともに居住している。その余の土地は現在まで相手方梅野浩史において管理占有されている。
その後、本件申立てまで被相続人恵太郎の遺産分割について協議が提案されたこともなく、被相続人恵太郎の相続開始から44年、亡ひろの相続開始から24年が経過している。
2 以上によれば、遅くとも上記証明書が作成された昭和50年8月ないし昭和51年3月ころまでに被相続人恵太郎の遺産についてその長男の子である相手方梅野浩史と二男の申立人梅野直人に、その後に手続された登記どおりに相続取得させる旨の分割協議が成立したものと認めるのが相当である。別紙目録4記載の建物についても敷地を所有することになる相手方直人が取得する旨の協議が成立したものと認めるのが相当である。
三 そうすると、本件申立てにかかる遺産についてはすでに協議分割ずみであり、他に分割を要する遺産も存在しないので、本件申立ては却下せざるを得ない。
よって、主文のとおり審判する。
別紙 相続関係図<省略>